からみ合う三人の足「ろくでなし啄木」

ろくでなし啄木

東京芸術劇場で三谷幸喜の「ろくでなし啄木」を観ました。
大劇場での商業演劇を観るのは久しぶりです。会場はほぼ満席。女の人ばかり。すごい人気なんですね。

温泉宿を舞台にしているので、のっけから浴衣姿の役者が登場。思わずその素足に目が釘付けに。

足というのは不思議な存在で、ふだん隠されているからか、それ自体がなによりもエロティックに感じられます。そして、そのひとの本質的な何かが、足に現れているような気もします。

啄木を演じる藤原竜也の足が、思いのほか甲高な、がっしりとした男っぽい足だったのでドキリとしました。ふくらはぎも筋肉質。
少年のような風貌とは裏腹な、男の匂いがぷんぷんしそうな足。このひと案外男っぽいキャラなのかも、なんて思ったり。

啄木の恋人、トミ役の吹石一恵は、テレビの印象よりずっと華奢で美しく、その足も、浮世絵の春画を思わせる、真っ白でこづくりな可愛らしさ。赤い腰巻から覗くそんな足を大股開きで大熱演です。

中村勘太郎は達者という言葉がなにより似合う、役者の塊のような印象です。全身、どこを見られても恥ずかしいところなし、という歌舞伎俳優らしい鍛え方、磨き方をしている肉体がばねのように弾け、汗まみれで熱演。

でも、ふとした瞬間、すんなりした脛が無防備になるとき、繊細さが滲み出る。
肉体とは魂の乗り物、やっぱり素のその人が出るのかも、なんて想像してしまいました。

絡んで、もつれて、絡み合う三人の足の存在感。虚構と現の間に浮かび上がる足が、なによりエロティックな芝居でした。

今は天王洲の銀河劇場にて上演中です。