ソウルの散歩道 8

「冬はものがよくみえる」と書いた作家がいたけれど、香りもまた、と思います。

ソウルの冬の風物詩は花梨。
よく晴れた日、荷車いっぱいに鮮やかな黄色の実を積み上げた花梨売りのおじさんをよく見かけます。もちろんどこのスーパーにもあり、伝統茶の店に行けば、いつものシロップ漬けではなく、生の花梨を千切りにしたものをたっぷり使った花梨茶が出てきて、とても美味しい。

寒い地方ならではの花梨は東京では手に入りにくく、この秋、どうしても欲しくて諏訪湖の花梨ロードまで訪ねましたが、時すでに遅く、購入することはできませんでした。

ソウルの花梨は日本に買って帰ることはできないですが、一つ求めて部屋に置きました。立ち寄ったカフェのシンプルな木のカウンターの上に、さりげなく置かれて、いい香りを放っているのも素敵でした。

 

空気が冷たいとき、香りはより親しみをもって感じられます。寒いミラノの冬も、すれ違う毛皮のマダムたちの香水の、ふわりと暖かい香りに、振り返らずに入られませんでした。

仁寺洞のサムジキルのなかにある自然石鹸の店「手手軒」の石鹸は、花梨をふたまわり小さくしたくらいの、ころんとした手作りの丸さがいい感じ。真珠、長脳人参、オークモス、ブルーベリーヨーグルトなど面白い名前がつけられた石鹸は、部屋に置いておくだけでいい香りです。和紙のパッケージもおしゃれなこの石鹸を購入して、お土産にしました。