ソウルの散歩道 7

テレビをつけると連日、ヨンピョン島のニュースが飛び込んできますが、ソウル市内はいつもと変らぬ様子です。島民の方々の悲惨さを知ると心が痛みますが、多くの市民はクリスマスの方に関心が向いている模様です。

辛いものが食べられなくなってしまった今、韓国ご飯は注意深く選ばなくてはならなくなりました。が、ソウル一美味しいと思っている干し鱈のスープは、とてもからだに優しい味。それもそれはず、二日酔いのときや具合が良くないときに食べるものとされているのです。

どこの国にもそういう食べ物はあり、たとえばイタリアだったら、天使の髪の毛という名前の細い細いパスタが入ったコンソメスープなんかがそう。東京だったら鍋焼きうどんかしら。

湯気を立てて運ばれてくる豆腐と葱だけのたっぷりスープは、鱈の出汁が効いて、それにアミの塩漬けを入れて食べると、からだの芯から温まります。

市庁広場近くの「ムギョドンブゴクック」は黙って座れば鱈スープと三種類の漬物がどんと出てくる専門店。ランチに行こうと思ったら11時20分には到着しないと長蛇の列に並ぶことになります。

11時半を過ぎたらもう満席。どの席も男性ばかりで、みな黒いコートを着ているので店内は黒々としています。なんとなく少しこわく感じるのは、そんな中年男性たちが男くさくて、ちょっとばかり男尊女卑の匂いがするからかも。昭和の日本の男性というのもこうだったような。そしてその威圧感と戦ってきたのが、わたしの世代のキャリア志向の女たちでした。その結果かどうかわからないけれど、ふと気がつけば世の中、草食男子ばかり。攻撃性がなくなったことはいいことのように思うけれど、不毛な感じもあり、複雑です。

 

さて、食後は近くの「Angel―in―us coffee」へ。天使のロゴマークが可愛くて、ついここに入ってしまいます。それにしても、ソウルにはファストコーヒー店がどうしてこんなに多いのか謎です。

コーヒービーンなどのアジア展開しているチェーン店やスタバ、そしてエンジェルインアスコーヒーも店舗数を伸ばしている様子ですが、他にも同じような店が山ほどあります。しかも結構なお値段。鱈のスープが6000ウォン(約480円)に対し、コーヒー4000ウォン(約320円)って、いいのかなあ? ドリップやサイフォンで淹れている喫茶店はあまり見たことがありません。それでも、蓋付きの紙カップを手に、同僚たちと笑いさんざめきながら会社に戻る集団があちらにもこちらにも見られる、オフィス街の昼休みです。