「おしゃれのベーシック」によせて

この11月28日に新刊を刊行することになった。 文芸春秋の担当編集者、藤田さんが書いてくれた帯コピーを見たら、「五年ぶりの新刊」と書いてあり、びっくり。

「おしゃれのベーシック」

バーレーン行きの準備一年、2005年に母の介護のために長期一時帰国して一年、バーレーン時代三年と、こんなに長く休筆していたのに、新刊を出せることは、本当に幸福で、あらゆることに感謝しないではいられない。

この本は、ほぼ書き下ろし。帰国してから日本の女のひとのおしゃれについて気になっていたのは、若い人は「モテ」に走り、若くないひとは「若」に走り、なんだか混乱していて、幸せそうじゃないなあ、ということ。なにかがブレている。

わたしがミラノから帰ってきたころに比べて、おしゃれのレベルは世界でも最高峰といえるくらい上がったし、素敵なものも世界一あるけれど、なにかが足りない。

なにか・・・満ち足りた自分らしさ、とでも言おうか。
それを手に入れるにはどうしたらいいか、自分なりに考えたのが、この本だ。

迷ったり、悩んだり、失敗したり・・・そんなことも率直に書いた。そういう自分を嫌いではなくなった、ということが、休筆という苦しい五年間をすごして得た、最大のことだ。

ろうそく宝石箱

今回は処女作の造本をしてくださったデザイナーの縄田智子さん、スタイリストの伊藤美佐希さんという、旧知の仕事仲間が参加してくれたことも嬉しかった。

写真の小泉佳春さんは、無印良品の広告などで活躍している方で、初めての仕事だったが、静かで淡々と、すばやく迷わず素晴らしい写真を撮ってくださった。

文春の藤田さんは休筆前の最後の本「スランプサーフィン」の担当でもあり、復帰第一作を手がけていただくなんて、ご縁だなあ、と思う。

ハンガーマグカップ
シンギング・ボウル

そしてこの場を借りて、この本を読んでくださったすべての方に、心から感謝します。本当にありがとう。