湧き水の街、松本

松本の空気は乾いていて、ヨーロッパを思わせる。
いつも奇跡のように感じるのは、この街にはあちこちに湧き水があり、それを市民が自由に飲んだり汲んだりしていることだ。アルプスの伏流水が街の下を滔々と流れている。なんて豊かなのだろう。

友人の家から近い浅間温泉にも、自由に温泉が汲める場ができていた。「山の手使い湯」という言葉も、奥ゆかしくて、きれい。

ここの「枇杷の湯」に立ち寄り温泉して、そのあと、中町通り近くの「蔵佳」にて夕食をいただく。この店は、130年前の蔵を改装した店で、文字が書き込まれた当時の梁が、そのまま残っている。

そんな木と土壁とでできた蔵は、自然と共存する日本の伝統を感じさせ、とても落ち着く。

若々しい女将さんが作る「白瓜の酒粕和え」「イカのワタ和え」などで、お酒も進む。お酒は好きな小布施の桝一酒造のもの。

翌日は「源智の井戸」を見に行く。どんなガイドブックにも必ず載っているが、天保年間から続くこんな井戸がある松本は、本当の豊かさを与えられた街だと思う。

湧き温泉

[浅間温泉にある湧き温泉。あったかい!]

 

き水の汲み場

[こんな湧き水の汲み場があちこちに]

源智の井戸

[「源智の井戸」には朝から市民が水を汲みに]

 

しかし、すべての市民が湧き水を使って生活していた時代は遠く、高度成長期に、八割はダムからの水に変わってしまった、ということを朝日新聞松本支局の伊藤景子さんの記事で知った。政治が人々の豊かさを奪ってしまった例の一つだろう。

源智の井戸

「源智の井戸」以外にも、あちこちになにげなく、さりげなくある湧き水。
それを見つける度に、歓声を上げて、水に触れないではいられない私は、かなしい東京人って感じだな。