愛と情熱の写真家セルジュ・グエルランド

パリからやってきた写真家のセルジュ・グエルランドさんと仕事をした。久しぶりの撮影の現場。セルジュさんはイタリアン・ヴォーグでジュエリーを撮影する仕事を終えて来日。翌日から時差ぼけもなく精力的に活動して、とても50代とは思えない元気ぶり。

浜田山のジュエリー・サロンで撮影のこの日は、白いシャツに迷彩柄のワークパンツ、それにビーサンというラフな格好で、来るなり撮り始める。とにかく目にも留まらぬ速さに、スタッフ一同度肝を抜かれる。考えたり悩んだりする、ということがない。ジュエリーを見ては、花にランプにサロンのペットの黒いわんこにまで、コーディネイトしてどんどん撮る。

光を作り、風を入れて、カメラを覗きながら「ワーオ」と叫ぶ。感動しているのだ。静物写真の撮影で叫ぶ写真家を、生まれてはじめて見た。多くの静物写真家は、静かで、考え抜いて、時間をかけて撮るのが普通だったから。まあ、彼は静物専門の写真家ではないのだけれど。

立って座って寝転がって、被写体に食いついていく。相手はジュエリーなのに。彼の手にかかると、それらは生き物のように呼吸し、官能的にうねり、光を放つ。ポラを見ると、まるで日本ではない。空気感が、色が、光が、彼独自の世界に仕上がっている。場所でもなければ、被写体でもないのだ。要は,どれだけ自分の世界を構築できるか、ということ。

セルジュ・グエルランドさん

撮影が終わり、日本大好き焼酎大好き、という彼と共にみんなで近くの焼き鳥屋に。

「どうしてそんなに情熱的なの?」

「それは愛があるからさ」

「落ち込む事はないの?」

「ほとんどないかな」

ロワール川のほとりに1800本ものワインを貯蔵するカーブをもつ自宅があり、そこでの暮らしを楽しみながら、精力的に世界を巡って撮影をするセルジュ。人生を楽しんでいるから、こんな写真が撮れるのか。なんだか、あまりにも違う、私たち日本人と・・・。

素晴らしい写真に酔いながら、ちょっとショックでもあった一日だった。

セルジュ・グエルランドさんの作品は彼のサイト
http://www.guerand.com/ で見ることが出来る。